リーダー育成の分野では、よく「ロミンガーの法則」が語られます。ロミンガーの法則という呼び名よりも、「7:2:1」という数字のほうが有名で、これは
経験(70%)・薫陶(20%)・研修(10%)
を表しており、リーダーが成長するためには、経験 が最も大きな役割を果たすという考え方です。
この法則は1990年代に提唱されたものですので、AIが存在しなかった時代の学び方を前提にしています。言わずもがな、私たちの働く環境は大きく変わりましたね。情報の量も質も当時とは比べものになりません。 AIがますます身近になってきていますので、学び方そのものが変わりつつあります。
では、「ロミンガーの法則」つまり「7:2:1」を、これからも同じ比率で参照しつづけて良いのでしょうか。

応援団長として、私は、この比率は変わる可能性が大いにあると考えています。
「ロミンガーの法則」の時代背景を想像してみる
まず、なぜ「経験」が70%とされたのかを考えてみます。
2000年より前の時代、当時は、
■ インターネット黎明期、スマホは存在していないので、得られる情報が少ない
■ e-ラーニングなどの手軽な学び機会は限定されている
■ 振り返りを支援する仕組みがない(振り返るかどうかは本人次第)
といった状況ですので、現場で学ぶしかなかったという側面があったのではないでしょうか。 つまり、経験が最も効果的だったというより、経験以外の選択肢が乏しかったという見方ができそうです。
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では、 薫陶(20%)はどうでしょうか。
薫陶をくれる相手は上司とは限りませんが、身近なアドバイザーと言えば、上司が妥当かと思われます。しかしながら、良い上司に出会えるかどうかは偶然に左右されます。
コーチングも今ほど盛んに行われていなかったでしょうし、結局は上司の力量に依存するという、学びを得られるかどうかが運次第であった可能性がありそうです。
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最後に、研修(10%)について。
研修に長らく関与している立場としては残念な物言いですが、今も昔も実務への転移が難しいとされています。研修で得た学びを活かし、自らの成長に繋げている人は決して多くないと予想できます。
AI時代 学びは変わってきています
では、AIが普及した今、学びの環境はどう変わってきているのでしょうか。
① 経験の学習効率が高まる
本人次第という点は昔と変わりませんが、AIは経験をただの経験で終わらせないことができます。AIを活用することで、
■ 自分の行った意思決定が果たして良かったのかどうかを振り返ることができます
■ 自分のマネジメント行動の言語化することで、もっと良い言動を見つけることができます
■ 部下とのコミュニケーションでうまくいかなかった場合でも、原因分析や次回策の検討ができます
② 良い上司でなくても、薫陶がもらえる
AIは、良い上司のような役割を果たしてくれます。日々のマネジメントで悩んだり、迷ったりしたとき、AIは、
■ 仮想上司として相談相手になってくれます
■ コーチとして、こちらに質問を提示してくれます
AIによるコーチングやフィードバックが、従来の『薫陶(人からの学び)』を強固に補完・ブーストしてくれます。
③ 研修が実務に直結する
AIは、研修をあなたに合った学びをデザインしてくれます。AIにあなたの状況や役割、目標などをインプットすれば、
■ 自分専用の学習プランを提案してくれます
■ 学んだことを実務のどんな場面に活かせそうか教えてくれます
■ 実践したことを振り返った際に、フィードバックや勇気づけをしてくれます
そうすることで研修効果が高まり、研修の比率が上がっても不思議ではありません。
シン・ロミンガーの法則(仮説)
これまでに記載したことを踏まえますと、学びの比率は次のように変わるのではないかと仮説を立てています。
経験:50% 薫陶:30% 研修:20%
経験の比率が下がるのは、経験の学習効率が高まるためです。 薫陶はAIによって補完され、かつ質が高まります。研修は個別最適化され、学びの実務への転移が進みます。

学びの重心が「現場一辺倒」から「現場+AIによる支援」へ移るイメージです。
ミドルマネジャーは学び方をどう変えるべきか
ここからは、実務で活かせる視点を記載します。ご自身のマネジメント能力を高めるために、どんどんAIを活用しましょう!
① せっかくのマネジメント経験を「ただの経験」で終わらせない
AIに、
■ 定期的にマネジメントの振り返りを支援してもらう
■ 重要な意思決定のプロセスを言語化し、評価してもらう
■ 部下とのコミュニケーションでうまくいかなかった経験をデータ化し、次善策のヒントを得る
② 薫陶を「上司」からではなく「AI」から
AIに、壁打ち相手(コーチ)になってもらう=ロールプレイを行う
③ 研修を「座学」から「実務直結」へ
AIに自分の状況や役割、目標などを与え、
■ 自分専用の学習プランを作ってもらう
■ 学びに関する実践課題をセッティングしてもらう
■ 取組んだ結果についてフィードバックをもらう
最後に
繰り返しますが、「ロミンガーの法則」は、AIのない時代の学び方を前提にしたものです。
AIは、私たちの経験を「ただの出来事」ではなく「学びの素材」に変えてくれます。これは、ミドルマネジャーにとって大きな追い風になるはずです。

経験や運に頼る学び方から、AIを活用した主体的な学びへ
学び方をアップデートすることが、ミドルの成長を確かなものにし、職場や組織の活性化にもつながっていくはずです。
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