今日は、課長を苦しめている原因を2つ書きます。
読んでいただきたいのは、経営企画や人事にご所属の皆さん、現場の部長・課長の皆さんです。
ご感想・ご意見があれば、是非いただきたいです。
課長を苦しめているもの① サーベイ結果の活用
サーベイを利用して、組織をより良くしようとしている会社は多いですが、それらを企画する側(経営企画や人事)のリテラシー不足やお粗末な運用が原因でおかしなことが至るところで起こっています。
その結果、最も困っているのが現場の課長 です。
どういうことか説明します。
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経営企画や人事は組織状態を定量化・見える化するためにサーベイを活用し、そのスコアの改善を図ろうとしています。その企図はおかしなものではありません。おかしいのはその内容とやり方です。
例えば、多くの会社で実施されているエンゲージメントサーベイですが、その設問内容を見ますと、
■ 会社の方針を納得していますか?
■ 経営陣のリーダーシップを信頼していますか?
■ リソースは十分だと思いますか?
■ 成果の出せる組織体制になっていますか?
といった、課長ひとりの頑張りだけではどうにもできない項目が並んでいます。他にも、
■ 処遇・福利厚生に満足していますか?
■ 教育機会はありますか?
■ 働き方に柔軟性はありますか?
といった、これまた課長だけではコントロール不可能な項目もあります。
加えて、エンゲージメントサーベイの中には、従業員をお客さま扱いしたような質問ばかりで、「あなたは会社や職場に対してどんな貢献をしてくれているのか」といった、組織ビジョンの実現や戦略遂行の一端を担いでいる当事者としての意識や行動を全く問うていないものがあります。
そんな点を理解していない経営企画や人事が、

はい、これがあなたの組織のサーベイ結果です。これをヒントにあなたの組織を良くしてください。
と、現場の課長(ないしは部長)にサーベイ結果を丸投げしています。

課長ひとりの頑張りでは何ともならない項目がずらりと並んでいるサーベイ結果を、課長はどう扱えばいいのでしょうか。課長が困るのは当然です。
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「サーベイ・フィードバック」という手法があります。サーベイ結果をテーブルの真ん中において、組織の関係者が集まって対話し、皆で組織を良くするために決断・行動をしていこうという手法です。
※「サーベイ・フィードバック」の説明 「日本の人事部」さんのサイトへ
人事関連のイベントや書籍でこの手法を知った人事担当者は「サーベイ・フィードバック」を企画し、現場の課長にこう通達します。

サーベイ結果をもとに、課員と対話してください。
これが課長の苦しみを倍増させます。
従業員をお客さま扱いしているサーベイの結果をもとに、課全員で集まって話し合うとどうなると思いますか?
それは、
課長の吊るしあげ
が起こります。従業員が日ごろの不平不満をまき散らし、課長はサンドバッグ状態となります。

日常における課長のマネジメントにそうなる原因があるのかも知れませんが、経営層のリーダーシップや制度、体制などへの不平不満が、ここぞとばかりに課長に降りかかってきます。
課長としてはやってられません。
人事部門は、更に酷なことを要求してきます。

課の皆さんで話し合って決めたアクションプランを人事に提出してください。
そうすると、課長は
◆ 人的リソース不足を解消するため、人事に掛け合う
◆ 業務の効率化を図るためAIを活用する
といった、従業員にとっては何の努力も不要で、課長だけが奮闘せねばならないような、しかも具体性に乏しい、希望的観測を含めたようなアクションプランをとりあえずひねり出し、人事部門へ提出します。

そんなアクションプランですから、決して実行されることはありません。
半年~1年後、次回のサーベイ結果には何の変化も生まれないどころか、むしろ状況が変わらないことに対する従業員の不平不満が増大し、「こんなサーベイをやっていて意味はあるのか!」とサーベイ自体への不信感も起こり、それでも「サーベイ結果をもとに課員と対話してください」と言われ続ける課長はますます苦しい状況に追い込まれます。

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ここまで書いてきたことが、パーソル総合研究所さんの最近の調査でも明らかになっています。(→ パーソル総合研究所さんのサイトへ「従業員サーベイに関する定量調査」)

ではどうすればいいのでしょうか。
課長を少しでも楽にするために、経営企画や人事の皆さんに以下の2点を提案します。
① サーベイ内容自体を見直す
→ 戦略遂行への貢献度合や、職場への関与の度合に関する設問を取り入れ、社員に問う
② サーベイの活用方法は、まず主管部門(主に経営企画や人事)が自分たちで実践してから現場に実践を促す
→ 自分たちがやっていないものを現場に投げない
課長を苦しめているもの② [戦略遂行 << 部下のご機嫌]という風潮
コンプライアンスを遵守することは大切です。パワハラは絶対に許されません。
本来「戦略を遂行すること」と「パワハラ」の間には何の関係もないはずです。ですが、現場ではこの2つのことが関連しあって、課長を苦しめています。
どういうことか説明します。
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課長は、自分が部下から「パワハラだ」と訴えられることを恐れて、
戦略遂行上で必要な指示・命令を出せない
という事態が起こっています。
理由は簡単です。
挑戦的な目標を与えられること=パワハラ、と解釈するような風潮があるから
です。
どこの会社も持続的な成長・発展を前提にビジョンや目標、戦略が掲げられています。それらは、当然ながら、成り行きで達成できるような簡単なものではありません。ですから、そこで働く全ての従業員には何らかの挑戦が求められます。
ところが、課長が部下に「〇〇さんには、今期■■に関してここまでやってもらいたい」と伝えたとき、

そんなの無理に決まってるじゃないですか。パワハラで訴えますよ
と言われても、さほど驚かれない時代になっています。
パワハラと認定されるのは、その言い方や場面(第3者のいる前など)が原因であることが多いです。そこに気をつけていれば、組織の掲げる戦略を遂行するための指示・命令はいたって正当なものなはずです。
では、戦略遂行のための指示・命令が、どうして「パワハラだ」と捉えられてしまうのでしょうか。
その理由を私はこう考えています。
私たちが、これまでに 戦略を真剣に扱ってこなかったから ではないかと。
これまで私たちは「戦略を起点に考え、部下に指示命令する」のではなく、「目の前にいる彼・彼女にできる/できそうな仕事を用意して与える」ようなマネジメントをしてきました。「戦略起点」ではなく「ヒト起点」のマネジメントです。
つまり、上司も部下も「戦略起点」の発想に慣れていない のです。
戦略を意識したことのない部下が、上司からいきなり戦略を持ち出され、「高い目標をやってくれ」と言われる・・・。世の中の風潮もあり、部下は驚き、パワハラと受け取るのも無理ないなと思います。
課長の側も「戦略起点」に慣れておらず、高い目標を部下に提示すると反発/抵抗されるので、低難度の目標しか部下に持たせることができず、結局は部下が背負うはずの目標を課長が背負うことになります。
これにより、パワハラ呼ばわりされることは避けられましたが、課長がプレイヤー業務を担うことになり、多忙を極め、マネジメントの機能不全が起こります。

課長が「戦略起点」の挑戦的な目標を部下に言えない理由がもう1つあります。
それは、もしもの時、会社や上司である 部長が守ってくれない ことがあるからです。
部長も「ヒト起点」のマネジメントをしてきた人ですから、「戦略起点」で目標を丁寧に下ろしていくという思考が弱いため、社員から挑戦的な目標に対する不平不満が出た場合、課長の指示内容を支持・支援することなく、部下側の肩を持つような態度をみせがちです。
そうなりますと、課長は“気弱なマネジメント”しかできなくなり、業務面と精神面の両負担を独りで背負い、ますます苦しくなります。
最近、「部下に寄り添う」という言葉を聞くことが多いのですが、余裕のない課長に、部下に寄り添うことなんてできるはずがありません。
繰り返しますが、組織として高い目標を掲げているなら、部下に高難度の取組みや挑戦を求めることは当然なことです。
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では、どうすればいいのでしょうか。
課長が安心してマネジメントできるために、
① 部長も課長も「戦略起点」で人や組織のマネジメントをすることを習慣化しましょう
→ その人ができそうなことを任せるという「ヒト起点」ではありません
② 戦略遂行に関しては、部長は課長の一番の味方(or 理解者)だという自覚を持ちましょう
まとめ
言わずもがな、世の中の課長は頑張っています。
いつの時代でも課長への期待は大きいのですが、課長への施策や支援がズレていることがあります。
◆ エンゲージメントサーベイをやることに、課長の援助・応援という観点は入っているのでしょうか
◆ マネジメント研修が課長を救っていることになっているのでしょうか
◆ 従業員へキャリア自律を促すような施策をやっていて、それが本当に課長を負担を軽くしているでしょうか
◆ 部長は「あなたの役割は課長の支援、育成だ」と、真剣に自覚しているでしょうか
そもそも、課長にしっかりしてほしいとか、課長にちゃんとマネジメントしてほしいとかいう思考ではなく、
課長を助けたい、応援したい
という思考がどれだけあるでしょうか。

経営や人事の皆さんには、本気で考えてもらいたいです。
こんな厳しい環境下でも、日々現場を回している課長の皆さん。少しずつでも、一緒に職場をより良いものにしていきましょう!

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