
ミドルマネジャーの皆さん、“組織開発”をご存じでしょうか。
「言葉は聞いたことはあるけど、何をやることなのかは分からない」といった感想が多いのかもしれません。
多くの会社の経営層の皆さんも同じような感想をきっとお持ちで、更には「組織開発をやって意味があるのか?効果をどう測るのか?」といった疑念を持たれがちな「言葉」であり「機能」、それが国内における組織開発の現状のような気がしています。
組織開発に馴染みのあるはずの人事部門の方々でさえも、組織開発のことをあまりご存じでなかったり、「盛り上げ行事により、職場内のコミュニケーションを活性化する支援こと」、「エンゲージメントサーベイのスコアを改善するための取組み」といった程度にしか理解していないのかもしれません。それらは組織開発の枝葉であって、幹ではありません。
今回のブログでは、アカデミアの立場ではない、実務家である私(ミドルマネジャーの応援団長)の持っている知識と経験から、
組織開発とは何か
について、なるべく分かりやすくお話しします。
ミドルマネジャーの皆さん、組織運営のヒントになると思いますよ。是非お読みになってみてください!

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組織開発とは何だろう?
もし皆さんが独りで仕事しているのであれば、組織開発は不要です。独りは「組織」ではありませんからね。
では、組織(2名以上)で仕事をしているからといって、組織開発が必ず必要かと言えばそうとも限りません。

どういうこと?
説明していきます。
仕事には目的・目標がありますね。それらを達成するために、単独でやるよりも2名以上の人でやったほうがいいことがある(=多くの人に喜んでもらえる、効率よく作業ができる、など)ので、私たちは組織としてそれに取り組んでいます。
あなたが組織を束ねるリーダーであった場合、自分以外の人たちを、同じ方向(目的・目標)に顔を向かせ、そこに向けて皆が同じ熱量(パワー・エネルギー)をもって取り組んでもらいたいですよね。方向と熱量を一致させること、文字通り、「メンバーのベクトルを合わせる」ですね。
組織規模が数名であった場合、リーダーである皆さんは何をするでしょうか。

ミッションやビジョンをメンバーに語り、共感・納得してもらうようにします!

成果を出した人には高い評価やポジションを与えます。

チームが一丸となるよう、皆で話し合う場を定期的に用意します。
といったような色々な工夫ができるかと思います。
では、従業員が増え、組織化が進み、更に事業部長・部長・課長・主任などといった階層・立場が生まれてきた場合、ひとりの組織リーダーの個人技だけで、全従業員を同じ方向に向かせ、同じ熱量で取り組ませることは相当に難しくなります。
そこで、組織としての統制を図るため、制度やルール、ガイドなどを作ります。これらの狙いは、従業員の思考や行動を規定し、同じ方向(共通の目的・目標)に顔を向かせ、同じ熱量で各役割に取り組んでもらうことです。
制度やルールを作る側からすれば、きっと “組織にとって良かれと思って” 作っています。
きっちりとした制度やルール、ガイドなどさえ作れば万事OK。マネジャーの資質や経験、能力に依らず、マネジャーがそれらに則って組織を運営すれば、従業員は同じ方向を向き、期待する熱量をもって活動し、ちゃんと成果を出す(はず)、という前提のように思えます。
皆さんはそのような前提をどう感じますか?

安斎(2025)の言うところの「軍事的世界観」ですね。
参考書籍:安斎勇樹 著 『冒険する組織のつくりかた 「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法』 テオリア 2025年

そんな世界観を完璧に実践して成果を出し続けている組織は、現代どころか、昔にもありませんよね。
人事施策(制度、ルールなど)の浸透・実践に関して、坂爪・高村(2020)によれば、
管理職は「意図された人事施策」を「実行された人事施策」とすることで、人事施策に影響を与える。すなわち、管理職は部門の状況や自らの権限、ならびに自らのリーダーシップにより、「意図された人事施策」を自分自身にとって実行可能な形で運用し、「実行された人事施策」にするのである。この過程で、人事部門が立案した「意図された人事施策」と管理職によって「実行された人事施策」に違いが生じうる。
と書いており、マネジャーの皆さんが制度やルールを意図通りに受け取っていないし、意図通りに実践していないことを指摘しています。更に、
部下とのコミュニケーションに問題があり情報共有がうまく図れていない管理職では、部下に提供される情報が限定的になったり、部下が、管理職から発信された情報にバイアスをかけて受け取ったりすることを通じて、違いが生じる。
とも書いており、管理職の向こう側にいる従業員に、制度やルールに関する内容はもっと行きわたっていないですね。
参考書籍:坂爪・高村 著 佐藤・武石 編『管理職の役割』中央経済社 2020年

だから、組織開発という営みが必要なのです!
例えば、従業員のキャリア自律を促進するために1on1ミーティングを制度として導入するとします。その結果、上司と従業員の皆さんは1on1ミーティングを意図通りに、しかも全員が実施するでしょうか。

残念ながら、そうはならないでしょう。
そのギャップを埋めるのが、組織開発の役割・機能なのです。
ここで、組織開発の定義を紹介します。中原・中村(2018)によれば、
組織開発とは、組織をWORKさせるための意図的な働きかけ
としています。
参考書籍:中原・中村 著『組織開発の探求 理論に学び、実践に活かす』ダイヤモンド社 2018年
組織の掲げる目的や目標を達成するための諸活動をWORKさせるために制度やルールがあります。そう考えますと、ほぼ全ての組織において組織開発が必要といっても過言ではありません。
マネジャーの皆さん、以下の質問に「YES」と言えますか?
* 組織のビジョンや目標について、従業員の皆さんは正しく理解し、納得していますか?
* 組織目標を達成するための手段や自らの役割に関しては、従業員の皆さんは正しく理解し、納得していますか?
* 従業員どうしの関わり合いに関して、従業員の皆さんは理想の振る舞いを実践していますか?
たった3問ですが、恐らく、全てに「YES」と言い切れるマネジャーは少ないと思います。そうであれば、組織がWORKしていないということですので、組織開発に意図的に取り組まれたほうがいいでしょう。
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今日は、「組織開発ってなんだ?」ということに関して、私流ではありますが、説明してきました。分かりやすかったでしょうか。
ミドルマネジャーの皆さんから、「で、具体的には何をすればいいのか?」というお考えが聞こえてきそうです。もし、皆さんの会社に組織開発部隊があるのであれば相談してみてください。そのような名称が社内に見当たらない場合は、人事部門に問い合わせて見られるといいでしょう。
ミドルマネジャーご自身が主体となり、自分の組織に対して組織開発を実践するといいように思えますが、組織の抱える課題について、実はミドルマネジャーの皆さん自身も課題を生んでいる一部(当事者)であることがありますので、第3者の介入がいいこともあります。
先日より、うちの会社のある部門に対して、私(ミドルマネジャーの応援団長)が介入して組織開発を行っているですが、複数の参加者からこのように言われました。

この取組み、組織内のメンバーだけだとうまくいきそうにないですね。(ミドルマネジャーの応援団長)に入ってもらって良かったです。 (→ このあたりに関連したブログを過去に書いています)

このコメントは嬉しいですが、組織開発のひとつの目標に、自己革新性なるものがあります。いずれは、自分たちで組織を継続的にアップデイトしていけるようになることが理想ですので、私はいずれフェイドアウトしていくつもりです。

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