「阿吽の呼吸」「以心伝心」のコミュニケーション → 管理職の説明責任能力をはく奪

この記事は約5分で読めます。

会社都合の人事異動が、管理職の説明責任能力を奪う?

皆さんの会社では、会社都合での人事異動が当たり前ですか?

異動を含む人事権を会社が保持していることの注意点があるようです。書籍 石山恒貴 著『人が集まる企業は何が違うのか 人口減少時代に壊す「空気の仕組み」』光文社新書 2025年 の中にこんな文章がありました。

石山先生
石山先生

管理職の説明責任が醸成されないという問題である。人事異動に本人同意が必要ないことで、管理職にとっては異動の理由や意義を本人に伝える努力が不要になってしまう。また遅い選抜で長期にわたって査定がなされるということは、一つひとつの短期間での査定の重みがそれほどでもないことを意味する。そのため、管理職は特定の人事評価期間における査定の理由を詳しく本人に伝えるという姿勢に欠けるようになってしまう。(252ページ)

応援団長
応援団長

会社都合の人事異動が当たり前の会社にお勤めの管理職の皆さん、この文章を読んでどう思いますか? 

私はこの文章を読んで、

■ なぜこんなにもメンバーへの評価をフィードバックしないマネジャーが多いのか
■ 「うちの会社は大体〇年でローテーションが普通だから」という言葉が異動の説明って酷いなぁ

といった、ずっと胸の中にあったモヤモヤが少し晴れた気がしました。「なるほど。メンバーにちゃんと説明しなくても済んでしまう仕組みが多くの日本企業に備わっているのだな」と。

では仮に、皆さんの会社で人事制度が変わり、会社の持つ人事権の一部を手放し、会社都合の人事異動がなくなったらどんなことが起こりそうでしょうか。異動は公募制となり、仕事内容や勤務地などを社員自ら選択可能になったら、組織を運営するマネジャーにとってどのような不都合が生じるでしょうか。

例えば、

といったことが挙げられます。

応援団長
応援団長

自社で公募制を導入しただけで、人材の流動性が急激に増すわけではありませんが、組織運営上で上記のような不都合が発生する可能性には気を付けておきたいところです。目の前にいるメンバーがこのまま居続けてくれるとは限らないという前提を持たないといけません。

ですので、マネジャーとしては、メンバーとのコミュニケーションにより、

〇 今の仕事をどう見ているのか(面白みを感じているか、やりがいはあるか)
〇 必要な支援はあるのか、困りごとはないか
〇 将来をいかに展望しているのか

などを常に聴いておかないといけません。では、メンバーの話を色々と聴いてあげていればOKかと言えばNGです。

上記の石山先生のご指摘から考えるに、管理職としての「説明責任」を果たす必要があります。では、管理職としてメンバーにどんなことを説明する責任があるのでしょうか。

ヒントを、名古屋商科大学ビジネススクール教授の高木晴夫先生が著書の中に書いてくださっています。(→ 以前にも、関連する記事を書いています。 当該記事へ

参考書籍:高木晴夫 著『プロフェッショナルマネジャーの仕事はたった一つ』かんき出版 2013年

それは、

応援団長
応援団長

会社が持っていた人事権の一部を手放せば、メンバーは自己選択でどこへでも行けます。もし皆さんが、目の前のメンバーと今後も一緒に働き続けたいのであれば、上記のようなことをメンバーへ丁寧に説明し、勧誘・惹きつけ・引き留めのようなことがしっかりと行う必要があるということです。

パフォーマンスがずっと出ないメンバーに対しては、本人のためにも「意識や行動を本気で変える必要があること」や「次の働き場所を考える必要があること」を本人に説明しなければなりません。そのままの状態が続けば、本人も組織も幸せにはなれませんので。

*************************

エンゲージメントにも説明責任が関係?

もしも会社都合による人事異動が無くなったとしたら、ということでここまで書いてきましたが、「うちの会社は会社都合の人事異動が中心だから、説明責任に関してさほど真剣に考えなくてもいいんじゃない?」と思っている管理職の皆さん、説明責任は別の観点でも重要みたいです。

石山先生は著書にこのように書かかれています。

石山先生
石山先生

管理職の説明責任の欠如は、エンゲージメントの低下につながる。国際比較で日本のエンゲージメントが低い理由は、管理職とそのチームメンバーの対話が足りず、1人ひとりの強みを活かせていないところにあるという指摘があった。(253ページ)

エンゲージメント向上に関しては、現在多くの会社が取り組んでいますよね。会社から「エンゲージメントスコアを向上させろ!」という指示が出ているケースは多いかもしれません。

では、対話が足らないとか、メンバーの強みを活かせていないとか本に書かれていますが、それらが説明責任とどう関係するのでしょうか。

「対話」とはお互いに意見や想いを伝え合い、その違いを表出させるコミュニケーションです。「メンバーの強み」に関して、管理職側に説明不足があるとすれば、

□ あなたには「●●●」という強みがあるようにみえるよ
□ あなたの持っている(強み)が(発揮場面)で生きているようにみえるね
□ あなたの持っている(強み)を活かそうなので(役割)を任せたいんだ

といったことをメンバーに説明していないということなのでしょうか。その影響で、メンバーは自らの強みに気づかないまま、会社や上司から言われた仕事をただこなしているだけ・・・。その結果、エンゲージメントが低い・・・。こんな構図なのでしょうか。

これは私の仮説ですが、メンバーのエンゲージメントを高めたいと思っているのでしたら、「メンバーの強み」に関する説明責任を果たしているかどうか、内省し、実践してみましょう!

※個人的には、メンバー側にも自らの強みと、それをどう活用したいと思っているのかを真剣に考え、管理職に説明する責任があると思っています。(つまり、管理職側だけにエンゲージメントの低さの原因があるのではない!と言いたいです)

*************************

今日は、管理職の説明責任に関するお話でした。

キャリア入社者も当たり前になってきていますし、日本人以外の従業員も増えてきています。阿吽の呼吸、以心伝心といったことが通用しない状況が以前よりも確実に生まれつつあります。

応援団長
応援団長

人事異動に関する制度がどのようなものかに関わらず、管理職としてメンバーへの説明責任はこれまで以上に意識して実践していかなければならないようです。これまで無自覚にやってきたことを立ち止まって見直す時代ですね。

コメント欄

タイトルとURLをコピーしました