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読書感想(25-6)数値化の鬼

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識学の安藤広大氏の本。ロングセラーになっているようですね。私は今回、『リーダーの仮面』、『とにかく仕組み化』に続いて、

安藤広大 著『数値化の鬼』ダイヤモンド社 2022年

を読んでみました。

内容は、ビジネスを行う上で当たり前と思われることが羅列してある印象です。が、それが実践できていない組織、ミドルマネジャーは世の中にたくさんいるのではないかと見ています。

そして、「自らの仕事を数値化せよ」と言っても、その意識の低い人はきっと言い訳をするのではないでしょうか。「数値化は、私の業務にはフィットしない」とか「そこまで数値化するとマイクロマネジメントになってしまうのではないか」とか。

そのような言い訳をするミドルマネジャーは、どうやって組織をマネジメントしているのでしょうか。どうやって自分のマネジメントの良し悪しを判断するのでしょうか。数値化しないと、組織をマネジメントできないし、自分のマネジメントを振り返られないと思うのですけど。

応援団長
応援団長

マネジメント能力を高めたい方、この本を手に取って、自らのマネジメントを内省してみてください。自分のマネジメントの改善点が分かりますし、マネジメントの質がグンと向上すると思いますよ。

この本の内容には、ミドルマネジャーの皆さんに紹介したい点が多くあるのですが、今日は3つの点につき、私見を交えて、マネジメントの要チェックポイントとして記載します。

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1.設定するだけ無駄な目標になっている

「目標を覚えていないのに日々の仕事をしている」という状態は、地図を持たずに目的地に向かってウロウロしているようなものです。(105ページ)

※以下の文章は、目標が正しく設定されているという前提です。(そもそもこの点が怪しい組織が多いのですが・・・)

本の主テーマである「数値化」をいったん置いておくとして、皆さんの部下は、皆さんとの間で期初に握った目標を覚えているでしょうか?そして、皆さん自身、自らの目標を覚えていますか?

thoughtful ethnic businessman using laptop while working in office
Photo by Sora Shimazaki on Pexels.com

もし(正確に)覚えていないなら、そんな目標に価値は無いと思います。

そんな程度の扱いをしている目標に関連して、

■ 期初にどのくらいの時間をかけて考えていますか(部下に考えさせていますか)
■ 目標を目標管理システムやエクセルに入力するのにどれだけの時間がかかっていますか
■ 今期の目標について、上司と部下の間で話し合うのにどれだけ時間をかけていますか
■ 中間振り返りをする時間、それを上司と部下で話し合う時間はどのくらいかかっていますか
■ 期末の振返りにどれだけ時間をかかっていますか
■ 上司と部下の間での評価フィードバック面談にどのくらいの時間がかかっていますか

目標を覚えていない場合、上記項目にかけている時間は無価値といっていいのではないでしょうか。

マネジメントの起点は目標にあります。部下に対する育成も、フィードバックも、評価も、全て目標に対して行うことが基本です。

応援団長
応援団長

更に「数値化されていない目標」だと、評価のときに更に質の悪い/厄介な状況を生みますね!

数値化どうのこうのを考える前に、そもそも覚えていない目標は、目標がないのと変わりません。そんな状態を、毎年同じことを繰り返していませんか。そうであればさっそく止めましょう!

2.チームの一員であるという自覚の醸成

識学では、個人は自分の数字だけを達成するのではなく、「あくまでもチームや所属部署の成果を上げるために存在する」という意識を徹底します。なので、それを評価にも組み込みます。・・・(中略)・・・。チームあっての個人。これは誰もが、受け入れないといけません。(114ページ)

識学さんの考えに、私は強く賛同します。

全ての従業員が組織(チーム)の一員です。当然、所属する組織(チーム)の一部として活躍する必要があります。自分のことだけやっていればいいという考えは払拭したいところです。

そのためには、目標設定はトップダウンでないとダメなのです。(目標の上下連鎖は必須です。部下が自分勝手に目標設定するなんてあり得ません!)

部下は、上司の抱える目標をちゃんと理解し、そこに対して個人としてどのような成果の創出が求められているのかを理解し、ゴールを数値化し、目標実現方法とKPI(=行動目標の数値化)を自ら考え、行動し、振り返り、また行動する。

加えて、組織(チーム)の目標達成に向けて、どのような貢献ができるのかを考え、具体的に目標を立てる。

上司はそれをマネジメントする。

応援団長
応援団長

当たり前のことを言っているだけですね。

3.ダメな会社・人材は思考の順序がおかしい

まずは本書で述べてきた「順番」について復習しておきましょう。

・「数字の成果」 → 「自分らしさ」
・「数字の根拠」 → 「言葉の熱量」
・「まずやってみる」 → 「理由に納得する」
・「チームの利益」 → 「個人の利益」
・「行動量を増やす」 → 「確率を上げる」
・「長期的に考える」 → 「逆算して短期的に考える」

これらはすべて、左の要素をクリアしてから、右の要素を考えたり、遅れてついてきたりする、ということでした。

「仕事ができる人」は、この順番を間違えることなく、まずは左の要素をクリアすることに取り組みます。逆に、「仕事のできない人」は、順番を入れ替えて、右の要素を考えたり、優先したりしてしまいます。(276ページ)

これにも強く同意します。

仕事ができない「人」だけでなく、ダメな「会社・組織」も思考が(右→左)ですね。

もっと具体的に言えば、ダメな会社・組織は、きっとこんな感じです。

1.会社が「短期的なこと」しか考えてない(戦略はあってもないようなもの)
2.会社が、数字の根拠を提示せずして、「絶対にやり切るぞ!」と飛躍的な目標だけ掲げる
3.人事部門が、従業員に「自分らしさ」を見つけ、発揮するように求めている(ゆるい組織づくり)
4.従業員が、会社や上司に何かにつけて「理由」の説明を求め、納得するまで行動しない

どうですか、皆さんの会社はこんな状況ではありませんか?

もしそんな状況に陥っているのであれば、今回ご紹介した本を読んでみるといいですよ。

会社全体が病んでいるのであれば、自分ひとりが努力したところで・・・と思うかもしませんが、自分のマネジメントを磨くことで、皆さん自身の市場価値が高まりますので!

応援団長
応援団長

他社から必要とされるミドルマネジャーを目指しましょう!

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