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「まずは一緒に呑んでナンボ」という職場は終わってる

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会社のイベントで、早稲田大学大学院の入山先生のご講演を聴く機会がありました。テーマは「DEI」。短い時間でしたが、主張がクリアで、説得力のあるお話でした。

「ダイバーシティ(の豊かさ)は業績に(ポジティブに)影響する。だから取り組むべき課題だ」

という点を、経営学者としてド直球を投げ込まれていました。

この点は、企業の経営陣だけでなく、ミドルマネジャーも本当に肝に銘じて、解決に向かうべき課題ですね。

加えて、入山先生はおっしゃいました。

「男性優位な社会環境で育ち、いい大学を出て、大手企業に入り、マジョリティな環境の中でずっと育ってきた人たちだけでイノベーションなんて起きるわけがない!」と。私も直感的にそう思います。

多様性の裏返しである同質性の高い組織にいれば、イノベーティブな発想は出てきません。出てきたとしても、つぶされるか、軽視 or 無視されます。

イノベーションが生まれそうにない組織風土は、日常の中に感じられます。今日はそんな、ふと思ったことを書きます。お付き合いください。

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一緒に呑んでナンボでしょ、はダメだな

以下のようなセリフ、聞いたことはありませんか?

おじさんA
おじさんA

まずは一緒に呑みに行って人間関係をつくらないと、仕事は始まらないよ!

こういったセリフを口にする人には、イノベーションを妨げるブロッカーの資質を感じます。

「まずは呑んでナンボ」と言う人の持つ思考を想像してみましょう。そこには幾つかの問題が隠されているような気がします。例えば、

1.呑まないと、うちの社員は本音を言わないよ~(本音が聞けないよ~)

こんな組織には、きっと日中は大事なことであっても、言いたいことがあっても言えない/言わない空気感があるんでしょうね。で、結局はいつも通りの、イノベーションとは程遠い結論に至る・・・。

2.「呑んでナンボ」という、うちの風土に早くあなたも染まりなさいよ

これは同質化の強要ですね。それができないなら、ここでは仕事ができないぞ!と軽く脅しているようにも思えます。この脅しに屈さない人は退職していくでしょうし、屈してしまえば同質化してしまい、イノベーションの火種が消えていきます。

上記2つともイノベーションの敵とも言える思考ですね。

働き方が多様化し、女性の社会進出が進みつつある今、呑み会をコミュニケーションの重要手段に置きたがる組織はダメですね。優秀な人材は離れていきますし、採用もできなくなるでしょうね。

応援団長
応援団長

お酒の力がなくても、日中に言いたいことを言い合える、本音で話せる環境が現代に合った環境だと思います。そこを目指したいところです。

タバコ部屋でのコミュニケーション、代替案はないものか

昨今、オフィスにて喫煙スペースが少なくなりつつありますが、こんなセリフを聞いたことはありませんか?

おじさんB 
おじさんB 

タバコ部屋で交わされる会話こそ、大事なことだったりするんだよな!

入山先生は「イノベーションとは、ゼロから何かを生み出すのではなく、今あるものと今あるものの掛け算から生まれるんです by シュンペーター(1934年)」とおっしゃっていました。

タバコ部屋で勝手に物事が決まり、タバコを吸わない人たちが不満を抱くような事態であれば問題です。そうではなくて、タバコ部屋が「今あるもの」と「今あるもの」を掛け合わせる触媒になっていたのであれば、タバコ部屋に該当するような空間(場)が作れないものでしょうかね。

応援団長
応援団長

私は今の会社で、部長どうし、課長どうしの横のつながりから共創が生まれることを1つの目的とした空間(場)をつくり、運営してます。将来のイノベーションに期待です!

今・ココから「離れていること」が重要

もう一つ、入山先生はゴーゴーカレーの宮森社長の持論をご紹介されました。「発想力は移動距離に比例する」だそうです。

半径数メートルの世界、つまり普段自分のいる拠点・オフィスあたりだけであれこれ考えていてもイノベーティブな発想は起こりづらいということです。旅行や出張で物理的に遠くへ出かけて、様々な人と出会い、話をしたり、新鮮な経験をすると良さそうです。

上記した呑み会と合わせて考えますと、同じ会社や職場の人とばかり吞んでいても、イノベーションは期待できそうにありませんね。他業界、他社、他職種、他世代など「他」な人とのコミュニケーション機会をつくったほうがイノベーション的にはいいです。

ミドルマネジャーの皆さん、色んな「他」の人と話していますか?

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最後に。

入山先生は、経路依存性というキーワードをお示しになり、「ダイバーシティだけのトピックであれこれやろうとしても組織は何も変わらない。歴史ある企業では特に、同質性の高さにフィットした様々な要素(評価制度、採用方法など)ががっちり噛み合っているので、その様々な要素をダイバーシティと整合させてまとめて変えていかないといけない」とおっしゃっていました。(当然、そこにはトップのリーダーシップが必須)

応援団長
応援団長

私も人事社員のひとりとして、他部署と連携し、様々な要素を踏まえながら、DEIを組織に浸透させていきたいと思います。そして、イノベーティブな組織になって、企業価値の向上を図っていきたいところです。

入山先生、ありがとうございました。

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