先日、Xにて『冒険する組織のつくりかた』の著者である安斎勇樹さんが「組織文化と風土の違い」について、とても分かりやすく説明なさっていました。(→ X上の該当ツイートへ)
私はその記事を読んで、「文化とか風土とかのように、ビジネス社会でなんとなく使っているけれども、聞き手どころか、話し手でさえ、実はよく理解していない(or 理解しているつもりになっている)言葉がたくさんあるなぁ」と思いました。そして、それが原因で、個人間や組織内外でコミュニケーション不全に陥ったりしているケースが山ほどあるとも思いました。
マネジャーの皆さん、組織文化や風土という言葉以外に、どんな言葉が “わかってるつもり” になりがちか想像できますか?
今日は、そんな話をします。

おそらく、今からお話しすることは今日も至る所で発生しています。間違いありません
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わかったつもりになっている言葉① リーダーシップ
リーダーシップという言葉、使いますよね。例えば、
● うちの経営陣にはリーダーシップが欠けている
● あの課長にはリーダーシップがない
● 一人ひとりがもっとリーダーシップを発揮しなきゃいけない
といった言葉を耳にしませんか?
そして、皆さんがそういった発言を聞いたとき、どのように受け取っていますか?「そうだよね~」」とか「私はそうは思わないけど・・・」とか、同意あるいは反意を示していませんか?
そうであれば、要注意です。いったん立ち止まって疑問をもちましょう。

“リーダーシップ”って、どんな(言動の)ことを言っているのだろうか
と。
人によって「何をもってリーダーシップがある/ない」と判断しているのかはバラバラなことが多いです。“グイグイ引っ張る系”のイメージで言っているのか、“指示を明確に出すこと”を想定して言っているのか、はたまた別のことを言っているのか。
中には、具体的なイメージを持っておらず、漠然としたイメージだけで「あの人にはリーダーシップがある/ない」と言っている人だっているでしょう。

マネジャーの皆さん、メンバーに「君にはもっとリーダーシップを発揮してほしい」とだけ言って済ませていませんか?
具体的に「どんな場面において、どのような言動をとり、誰に対してどんな影響を与えてほしいのか」を伝えないことには、メンバーはあなたのメッセージを正しく受け取っていないと思いますよ。
わかったつもりになっている言葉② コミュニケーション
コミュニケーション、とてもよく使う言葉ではありませんか。
● うちの職場はコミュニケーションが活発だ
● あの職場にはコミュニケーションに問題がある
● 彼/彼女にはコミュニケーション能力(コミュ力)がある/ない
なんて言いますよね。とても便利な言葉ですが、これも何のことを言っているのか、発言者に聞いてみないとよくわからない言葉です。
例えば、「コミュニケーションが活発」というのは、雑談レベルで大盛り上がりすることを言っているのか、組織の方向性に関して真面目かつ活発に言い合えることを言っているのか、はたまた別のことを言っているのか。
「コミュ力がある/ない」という発言も同じです。メンバーに対して「もっとコミュ力を磨け!」と言ったところで、きっと相手は困ります。皆さんが言われる側だったとしたら「コミュ力って何のこと?」と思いませんか。
コミュニケーションは取扱いを慎重にすべき言葉です。
わかったつもりになっている言葉③ エンゲージメント
最近、この言葉をやたらと聞きますが、皆さんは“エンゲージメント”って何か説明できますか?それは、「従業員の会社に対する「愛着心」や「思い入れ」をあらわすものと説明されています(→ 日本の人事部さんのサイトへ)。
エンゲージメントの意味を理解していればいいのですが、そうでないのにも関わらず、「エンゲージメントを高めよう!」と安直に施策を考えようとしているとすれば、それはとても残念なことです。
多くの会社で、エンゲージメントサーベイのスコアを上げるために、サーベイ結果で低得点であった項目や、エンゲージメントスコアにより影響力があるとされる項目に着目し、そのスコアを高めるための施策を考えがちです。

それが実に無意味な取組になっています
例えば、サーベイ結果で「会社の目標やビジョンに共感している」という項目が低得点であったとします。「まずい」と考えたあなたは、会社の目標やビジョンをメンバーに説明し直そうと考え、部員・課員を集め、できるだけ丁寧に説明しなおしました。
さて、これでエンゲージメントサーベイのスコアは改善するでしょうか。(たぶん無理ですね)
繰り返しますが、エンゲージメントとは「会社への愛着心や思い入れ」です。

メンバーの頭の中で、会社の目標やビジョンが「会社への愛着心や思い入れ」につながるような語りが必要です。場合によっては、メンバーによって語り方や内容を変える必要もあります。単に会社の目標やビジョンを示されたとて、エンゲージメント向上には繋がらないでしょう。無駄な施策がまたひとつ増えるだけになります。
まとめ
冒頭に書きましたが、安斎勇樹さんの記事を是非読んでみてください(→ X上の該当ツイートへ)。文化と風土は全く異なりますので、それを踏まえて言葉を使いましょう。違いが分かれば施策もきっと変わります。
マネジャーにとって言葉は命です。過去に、部や課の方針を聞いて、もっともらしい言葉が並んでいるが、実は言っていることは薄っぺらいいなと思ったことはありませんか。いま、あなたの掲げる方針がそうなっていませんか?

今日は書いていませんが、本人はビジョンのつもりで謳っている言葉が、スローガンや意気込みになっているマネジャーのなんと多いことか。ビジョンとスローガンでは、メンバーへの伝わり方が全く変わりますよ。

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