AIに「プロフェッショナルな人とは?」と聞いてみました。こんな回答でした。

プロフェッショナルな人とは、専門的な仕事に従事し、高いスキルと知識を持ち、常に向上心を持ち、顧客や社会に対して責任感のある人のこと
らしいです。
向上心と責任感はいったん脇に置いておくとして、(特に、JTCに長くお勤めの)ミドルマネジャーの皆さんは、(よその会社でも通用するような)マネジメントに関する高い知識やスキルを持っているでしょうか。

率直に申し上げますと、私にはそのような印象がありません。その会社の文脈内でのみ通用するマネジメントをやっているような印象です。
別の観点で同じような話をしますと、複線型人事制度を導入している会社では、等級に「マネジメント」と「スペシャリスト」の2つの階段が用意されていますが、一般的に、プロフェッショナルと言えば「スペシャリスト」のほうをイメージしがちではないでしょうか。
一方、マネジメントのほうは(会社のことに精通した)ジェネラリストといったイメージが強く、プロフェッショナルな職業という認知は、世間どころか、社内からも受けていないのではないでしょうか。

こうした点から考えても、私には、ミドルマネジャーの皆さんはマネジメントに関する高い知識やスキルが備わっていないのではないかとみています。ましてや、汎用性のある知識やスキルについては言うに及ばず。
JTCの中で、マネジメント能力を磨かずともマネジメント職としてやってこれていたのは、日本人の持つ「目上・年上を敬う精神」や、年功序列・終身雇用といった人事制度があったからではないかと私は考えています。
マネジメント職が、これまでのように「社歴が長ければ登用される」年功職のような職業であったり、「プレイヤーとしての実績だけで登用される」表彰職のような職業のままの扱いを受けているようでは、ますます難しくなる経営環境において、そんな組織は早晩なくなっていくでしょう。
そのJTCも、事業環境の激しい変化への対応、多様性を尊重する風潮、人手不足への対応(若手の重用)などの影響により、オールドファッションな人事制度の変革が徐々に進んでおり、今後、「マネジメントは専門職」と見方が、少しずつではありますが形成されていく気がしています。
ですが、現時点では、プロフェッショナルなマネジャーが生まれない素地が(特に)JTCの中には棲み着いています。
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専門職でないから、向上心が湧かない/向上意欲が持続しない
プレイヤーからマネジャーへの移行期は、立場や役割が大きく変わるという点で、ビジネスパーソンとしての大きな転換期です。そして、初めてマネジャーになるとき、多くの人は高い学習意欲と向上心を持っています。

マネジャーになると、大抵は“会社側の人”になりますので、評価、労務管理、コンプライアンスなど色々と知っておかなければならないことがあります。そのため登用者には研修機会が提供されます。
日本の人事部さんのデータでは、約9割の会社で「新任マネジャー研修」を実施しているようです。(→ 日本の人事部さんのサイトへ)
新任マネジャー研修で学ぶ内容は盛りだくさんですので、研修だけで全てのことを覚えきることはできません。それでも、マネジャーの役割や組織運営上で注意すべきことなどを大雑把につかむには貴重な機会になっています。
多くの新任マネジャーの皆さんは、部下としてみてきた上司であった人の言動や、研修で大雑把につかんだ役割感をもとに、期待と不安を抱きながらも、現場での実務経験を通じて、少しずつマネジャーらしい振る舞いになっていきます。

マネジャーになって1年が経過し、マネジャーらしい振る舞いになったからといって、彼・彼女らがマネジャーとして「完全体」になり、伸びしろがなくなったかといえばそうではありません。いつになっても、学ぶこと/学んだほうがいいことはたくさんあり(続け)ます。

ですが、多くのマネジャーが2~3年くらい経つと、自分なりのマネジメントの型ができた(と認識する)ことで、その型を進化させたり、変化させたりすることへの態度(吸収力)は減退していきます。マネジャー登用時にあれだけ高かった学習意欲や向上心はどこへやら・・・。

そうして、
未完マネジャー
が完成します。上記した通り、「マネジメントは専門職」という自覚が薄いので、何を磨けば良いのか分からないのかもしれません。
そのような未完マネジャーにとって、国内の異動程度の刺激では弱く、海外異動か他社へ転職するくらいの刺激でないと、自らのマネジメントを本気で「学ばなきゃ」とか「変わらなきゃ」といった態度にはならないでしょう。
さて、どうしましょうか。

次回のブログで、個人として「プロフェッショナルなマネジャー」になるためにはどうすれば良いのか、会社として「プロフェッショナルなマネジャー」をどのように養成するかについて書きたいと思います。
今回はここまで。お読みいただき、ありがとうございました。
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