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キャリアを考えない部下をどうするか?マネジャーの意思は会社の意思ですよ

この記事は約6分で読めます。

会社と個人の関係性が変わってきました。

とっくの昔に、「あなたの面倒を一生見ますので、会社の言う通りに働いてください」という時代は終わっています。個人の側も、もはや「私生活を削ってでも会社に尽くします」なんて誰も思っていません。

そして現在では、会社と個人は互いに「選び、選ばれる関係」という表現がよく使われます。

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人事部門は、従業員のキャリア自律を促し、「自らのキャリアを切り拓いていこう!」というメッセージを出しています。

これは個人に「企業から選ばれる存在になってくれ」というメッセージですし、「私は自らの意思でこの会社・仕事を選んだのだと言えるようになってくれ」というメッセージでもあります。

しかし・・・

これまでに転職したことがない(特に40代以上)の従業員は、キャリアをどう考えればよいのか分からないでしょうし、職務経歴書を書いたことも更新したこともないでしょうから、会社や仕事を自ら「選ぶ」という感覚を持っていないでしょう。

また、これまで人事ローテーションで色んな仕事を担い、特定の仕事にどっぷり浸かったことのない自分や、今いる会社のことしか知らない自分を省みたとき、他社や他者から「選ばれる」だけの自信は持っていないでしょう。

ミドルマネジャーは、そんな「選べない・選ばない・選ばれない」、非キャリア自律人材とどのように接すれば良いのでしょうか。あるいは、どう接していますか?

今日はそんな話です。

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キャリア支援って何するの?

ミドルマネジャーの皆さんから、こんな相談を受けます。

ミドルマネジャー
ミドルマネジャー

年配の人にキャリアを考えろと言っても今さら無理ですよ。どうすればいいんですか?

「年配だからキャリアを考えるのは無理」という言葉を聞くと、私はこんなことを考えます。

応援団長
応援団長

キャリアを考えるかどうかを年齢で決めつけているのか。きっと、この人(マネジャー)自身もキャリアを考えていないんだろうな  ※なぜなら、マネジャーも年配者に近い年齢だから

そして、こうも考えます。

応援団長
応援団長

上司として、部下にキャリアビジョンを持たせなきゃいけないと思っているのかな?

自らのキャリアについて考えていない/考えたことがないマネジャーに、部下のキャリア形成支援はできないか?と言われると、「できなくはない」と思いますが、やはり「自らのキャリアについて考えているマネジャー」のほうが言葉に説得力があるでしょうし、経験談も語れますので、いい支援ができるでしょうね。

また、キャリア “自律” と言っているのですから、「選び・選ばれる」人材になるかどうかは部下本人の責任です。ですから、マネジャーとして何をすればいいのかというと、以下のようなことです。

■ 中長期的な会社と部門の方向性(ビジョン、戦略)を示したうえで、この会社で頑張っていくつもりがあるかどうか考えさせる  ※高いパフォーマンスが期待できる人材には、会社が「選ばれる」ように語る必要あり
■ どこで働こうと一生安泰の仕事なんてない。あなたの仕事だってそうだ、と健全な危機感を普段から与えておく
■ 部下自身が自分のことや仕事経験を振り返られるように、定期的に話を聴く機会を設け、適切な問いを投げかける

いかがですか?上記3項目の文末を見てください。

考えさせる・与えておく・投げかける

これらは、部下自身で思考することを促すための動詞です。

マネジャーが答えを出す/与える必要は全くありませんし、部下の意思決定に責任を持つ必要もありません。部下が何歳であろうが、部下が自ら「選ぶ」ことを支援すればOKです。

自分の意思は会社の意思

会社には実現したいビジョンがあります。ビジョンは未来に対する会社の意思(WILL)です。そのビジョンをジグソーパズルの完成形だとしてください。

photograph of a kid solving a jigsaw puzzle
Photo by Karola G on Pexels.com

そのパズルを完成させるために、各部門が役割を分担し、ビジョン実現に向けて責任の一部を担っています。つまり、各部門はパズルを構成するピースです。

overhead shot of jigsaw pieces on the floor
Photo by Karola G on Pexels.com

どこかの部門が責任を果たせなかった場合、会社のビジョンは実現できません。それをパズルで言えば、ピースを失ったり、ピースの形が変形してハマらなかったりしている状態ですね。

すべての部門が与えられた責任を必ず果たさねばなりません。そして、その部門の責任を果たすために、部門内のメンバーで役割を細かく分担していますので、全てのメンバーが自らの責任を全うしなければ、会社のビジョンは実現できません。

ですから、メンバーに勝手は許されません。「そんなことはやりたくない」とか「目標をもっと低めにお願いしたい」とかいう要望は一切通用しないということです。

マネジャーの皆さんが示す部門の責任(や達成目標)は、マネジャー個人の自由意思で決めているわけではありませんよね。会社全体で目指すものを実現するために、その一部に責任を負っているわけですので、

マネジャーの意思=会社の意思

であることを再認識しましょう。

会社の意思(WILL)と部下の意思(WILL)

会社の意思(WILL)と、部下の意思(WILL)が同じ方向を向いていれば理想ですね。

会社は「目指す姿の実現に向けて、この人材の能力が欲しい」と考え、部下も「自分のキャリア上、この会社で/この仕事をやっていきたい」と考えている。つまり、個人「選び・選ばれる関係」が成立していると言えます。

応援団長
応援団長

残念ながら、現実はそんな関係ばかりではありません

今ここに、会社の意思(WILL:ビジョン、戦略)に対して乗り気でなく、将来への意思(WILL:やりたいこと)のない部下がいるとしましょう。

どうしましょうか。

この部下と会社の関係は「選び・選ばれる関係」ではありませんね。ですが、この会社にいる以上は、部下に将来やりたいことがあろうとなかろうと、この会社にいる限りは果たすべき責任(MUST:せねばならないこと)があるはずです。上司としては部下に部門の責任の一部を持たせる必要があります。

会社の意思(WILL)を部下の責務感(MUST)によって実現しようとするのは、本来は両者にとって残念なことですけど、実際にはそうならざるを得ません。

部下だって、こういった経験を通じて、上司との1on1ミーティングなどで「選び・選ばれる」人材になっていない自分に気づき、キャリア自律への動機づけになっていけばいいのではないでしょうか。

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応援団長
応援団長

会社と個人は「選び・選ばれる関係」って言われても、マネジャーはピンと来ないんですよね。人事部門は、それが部下とのやりとりにどう関係するのかを示さないと、マネジャーはますます困るだけです。

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