あなたは仕事を選んでいますか? 「選べない・選ばせない関係」を壊すミドルマネジャーの挑戦

この記事は約7分で読めます。

「仕事や働き方を自分で選んでいますか?」と聞かれて、自信を持って「はい」と言えるミドルマネジャーは少ないかもしれません。日々、上意下達の組織風土と、メンバーのキャリア自律の狭間で奮闘している皆さんにこそ、今回紹介する書籍2冊はお勧めです。

内田由紀子 著『日本人の幸せ ーウェルビーイングの国際比較』中公新書 2025年
石山恒貴 著『人が集まる企業は何が違うのか 人口減少時代に壊す「空気の仕組み」』光文社新書 2025年

両方とも面白い本でした。読んで改めて思ったのは、

ということです。皆さんは、仕事や働き方を自分で選んでいる感覚を持っていますか?

応援団長
応援団長

今日はこのあたりのことについて、本の感想を交え、記事を書いていきます。

*************************

私たちは「選ぶこと」に慣れていない?

仕事や働き方に関して、私たちは自分で選んでいるのでしょうか。

この点に関連して、世界的調査会社であるGallup社のウェルビーイングに関する調査に、パーソルグループが加わり、キャリア(はたらくこと)に関するウェルビーイングについての調査を行っています。その調査項目の中に、

とあります。日本は世界に150ある国・地域の中で28位のようです。(→ 関連サイトへ

私は、

応援団長
応援団長

おっ、意外と高い順位だなぁ。でも、選べる状態にあっても、選んでいるかどうかは別問題。

と思いました。

このあたりについて、石山先生は著書の中で、

とおっしゃっています。

やはり、国内の大手企業に勤める多くのビジネスパーソンは、仕事や働き方を選べる状態にあるとしても、実際に自らの意思で選んでいる人は少ないのではないでしょうか。

(※1)「三位一体の地位にいる者」とは、新卒で入社した会社において、会社都合で配置・任用されながら、古臭い「男性中心の価値観」のもとで育ってきた人たちのことです。

一方、内田先生は専門である文化心理学の知見をもとに書かれている著書の中で、北米を中心とした

と書かれています。

これに対して、雇用の流動性がさほど高くない日本のビジネス社会においては、自社のビジョンやリーダーが変わろうが、意見の合わない人がいようが、そのために仕事や働き方を変えるという選択をする人は少数派でしょう。また、ビジョンに共感できる会社を選ぶという感覚も少ないでしょう。

応援団長
応援団長

ビジョンやミッションの扱い方が日本と海外では異なる理由の1つがこの点です。日本では、ビジョンやミッションを意識するのは経営陣だけで、一般従業員はほとんど気にしていないのが実状です。気にしたところで、マネジャーは日常のマネジメントにビジョンやミッションを上手に活用していませんから。

では、どうすればいいでしょうか。

パーパス経営や、ジョブクラフティングなどに関連して、自分の仕事を意味づけさせるような取組みをやっている会社は多いようですが、同時に、仕事や働き方に関する「自己選択感」を日常からいかに持たせられるかどうかが大切です。

マネジャーとしては、メンバーと1on1ミーティングなどで話をする際に、単に傾聴すればいいのではなく、いかにメンバー自身が考えて、自分で選んで決めたのだという感覚を持たせるような接し方ができるかどうか、これがポイントです。

まずは1on1ミーティングの中で、『今月(今週)は何を選んで進める?』と問いかけることから始めてみてはどうでしょうか。そういった小さな一歩が、メンバーの『自分で決めている感』を育む種になると思います。指示をする代わりに、『このプロジェクト、どの部分なら一番自分らしく進められそう?』と一言添えるだけでも、メンバーの景色は変わります。

※指示命令ばかりしているようでは、メンバーは自己選択感を味わうことなどできません。

*************************

楽しくないうえに、ストレスが高い??

上記しましたGallup社+パーソルグループの調査で、別項目として、

という質問があります。日本の順位は92位のようです。低いですね。

今の状況が自分で選んだ仕事や働き方でないとすれば、この順位も納得できます。

そして、石山先生の本には、Gallup社の別調査をもとに

と書かれています。そして、これは日本企業の文化に構造的な問題があるとし、具体的には、日本企業型パターナリズム(※2)によって、企業文化は上意下達で硬直的なものになっている(石山:195ページ)のだそうです。

(※2)パターナリズムとは、父親のような強い立場の者(企業)が、子供のような立場の弱い者(正社員)の行動を干渉すること。そして、企業のパターナリズムの本質は、正社員を子供扱いにすること。企業は雇用保障や生活保障さえきちんと行えば、正社員は黙って働くはずだ、という考え方。

内田先生も著書の中で、日本社会における同調圧力の負の影響を謳っておられますが、石山先生は経営学者の太田肇先生の論を持ち出し、「太田が述べる日本社会の同調圧力は、日本企業型パターナリズムと整合的。・・(中略)・・。会社の所有物として文句をいわないことを期待している。これは共同体主義における同調圧力の表れ(石山:190ページ)」と述べられています。

応援団長
応援団長

過去の日本企業の成功を支えてきた仕組み(パターナリズム)が時代に合わなくなってきています。ミドルマネジャーの皆さんは今、その『空気の仕組み』をアップデートする最前線に立っています!

とはいえ、所有物扱いからの脱却を目論み、正社員のキャリア自律を促すことには危うさがあるようで、内田先生は「自己の「2階建てモデル」」(下図)なるものをもとに、以下のような注意喚起をされています。

書籍154ページより

個を尊重しずぎると、日本企業(日本人)のもっている協調性が綻び、それがキャリア自律(≒独立性)を阻むかもしれないと。

応援団長
応援団長

企業文化に構造的な課題がある中で、キャリア面談などを通じてメンバー一人ひとりの『自己選択感』を育もうと奮闘し、組織を何とかまとめようとしているマネジャーの皆さんの役割は、今こそ再評価されるべきですね。

*************************

自分の部・課を「選び・選ばれる関係」に

今日紹介しました両書籍に「選び・選ばれる関係」という言葉が出てきます。ここ近年、世間的にもよく言われる言葉です。なんとなく感じていましたが、本を読むと現状がハッキリしてきました。

「選べない・選ばせない関係」とでもいいましょうか。

企業側のパラダイム = 正社員は所有物だ
*自分たちは選ぶ立場であるというマインドセット
*社員に求めているのは、社内でのキャリア自律。転職は許さない
*会社都合の配置・任用は当然

個人側 = 選べません。目立ちたくありません
*自ら選ぶというマインドセットにはなっていない
*企業にぶら下がり状態。そのほうが楽だし
*やりたいこと・言いたいことがあっても、孤立を恐れ、何もしない

会社全体の仕組みを変えるのには時間がかかりますが、マネジャーの皆さんが率いる部や課を「選び・選ばれる関係」状態にすることは可能です。

応援団長
応援団長

指示命令を少しだけ減らし、メンバーに「自己選択感 」を味わってもらう。その積み重ねが、結果としてマネジャー自身のストレスを減らし、エンゲージメントやウェルビーイングを高める近道になるはずです。

内田由紀子 著『日本人の幸せ ーウェルビーイングの国際比較』中公新書 2025年
石山恒貴 著『人が集まる企業は何が違うのか 人口減少時代に壊す「空気の仕組み」』光文社新書 2025年

コメント欄

タイトルとURLをコピーしました