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「人を大切にする会社」、そんな会社はごくごく少数じゃないのか説

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「人を大切にする会社」という表現、皆さんもどこかしらで聞かれたことがあると思います。

応援団長
応援団長

皆さんは、「人を大切にする会社」の特徴について、どんなものを挙げますか?

■ どんなに不景気でも人をクビにしない会社?
■ 福利厚生が充実している会社?
■ お給料がいい会社?
■ ハラスメントのない会社?
■ どんなに仕事ができない人も見捨てない会社?

どうでしょうか?

AIさんに聞いてみると、こんな回答でした。

AIさん
AIさん

■ 人材を成長させる制度と環境があること
■ 従業員の意見を尊重し、働きがいのある組織文化があること
■ 安定した経営と福利厚生の充実
■ 地域や社会に貢献していること

だそうです。

今日のブログでは、AIさんの1番目の意見「人材を成長させる制度と環境があること」をもとに「人を大切にする会社」について考えてみます。

どうかお付き合いください。

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人事制度の適切な運用ができていない会社は・・・

AIさんが言っている“制度”とは、恐らくは人事制度ではないかと思われます。その人事制度には、等級・評価・報酬など、人にまつわる様々な要素が含まれています。人材の成長、つまり育成に関係する内容も当然その範疇です。

そのように考えますと、「人材を成長させる制度」は人事制度が整備されていればOKということになります。一定規模の会社であれば、人事制度のない会社はほぼありませんので、多くの会社が「人を大切にする会社」にノミネートされますね。

AIさんは、人材を成長させる「制度」だけでなく「環境」も必要と言っています。確かに、人事制度が存在していても、それを正しく運用しなければ、人材の成長を促す環境は生まれませんからね。

では、そんな環境が整っている会社は多いのでしょうか。

残念ながら、人事制度の運用がうまくいっていないという話をよく聞きます(→ カオナビさんの関連記事へ)。この点を踏まえますと、「人を大切にしている会社」の数はそんなに多くないのかもしれません。

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ここで考えてみたいのが、人事制度は、“すべての”「人を大切にする」ためにあるのか、ということです。

小林・山田・野崎(2023)は、

*人事担当者としては、・・(中略)・・。まずは優秀な2割の人材に寄り添うことを考えましょう(140ページ)
*人事制度は全員を幸せにできるわけではないのも事実です(141ページ)

と言っています。

参考書籍:小林・山田・野崎 著『図解でわかる!失敗しない人事制度の運用のしかた』ディスカヴァートゥエンティワン 2023年

私も同じ考えです。人事制度を制定する目的の1つは「公平性の確保」、つまり、「やってもやらなくても同じ」という状態を作らないことだと考えます。やった人を報い、やらなかった人を報いない(罰する)。当たり前のことです。

ですので、AIさんの意見「人材を成長させる制度と環境があること」を、以下のように表現し直せば、「人を大切にする会社」の特徴として、私は納得できます。

この要件を満たしている会社がどれだけあるのやら・・・。皆さんはどのようにお考えですか?

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水とモラルは・・・

私見ですが、「人を大切にしている会社」とは、

*ビジョン(目指すところ)と戦略(勝ち筋)を社内外に明示し、ぶれずに執行している
*従業員個々に求める役割と期待成果が明確になっている
*従業員が自分の役割を遂行するために自己研鑽することを奨励し、会社は有形・無形でそれを支援している
*多様性を尊重し、活かす風土がある
*挑戦を称え、現状維持を許さない風土がある

といった要素が備わっていると思っています。こういった要素を実現する仕組みとして、人事の諸制度があるのだと思います。

裏を返せば、制度がないと、

*従業員に求める役割や期待成果が不明確になりがち
*自己研鑽する人を冷やかしがち/邪魔しがち
*会社の価値観や風土に合った人材、言うことを聞きそうな人材のみを採用、評価、登用しがち
*挑戦して失敗した人を責めがち/排除しがち
*現状維持を認めてしまいがち

なのかもしれません。水とモラルは低いところへ向かって流れますし。

応援団長
応援団長

自分の会社が、「うちは昔から人を大切にしている会社なんだよ」と自称・自認しているようであれば、本当にそうなのか?と疑ってみたほうがいいかもしれませんね

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